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オーディオの新常識

中村製作所はピュアオーディオで納得できるグレードを要求して、次元を超えるトロイダルコアを探しあてた。特殊合金アモルファステープの積層巻きコア、アモルメットとして発売された。誕生したばかりのアモルメットを入手、どのような音質性能があるのかテストした。

アモルメットコア
 

オーディオ用に音質を重視したトロイダルコア(ノイズフィルター)が、中村製作所から発売された。これはオーディオ帯域で最適、効果的に作用し、また音質を劣化させるような副作用が発生しないように検討されている。一般電子機器用には多くの種類があるが、音質を重視して設計されたコアはアモルメットが世界的にみても初めてだろう。

アモルメットは、特殊鉄系合金アモルファスの厚さ0.2mmのテープ状。これを必要径に巻いて溶接固定、カバーを付け仕上げた。下の表のような各種サイズがあり、8月31日に発売された。
 


トロイダルコア
 オーディオ専用に開発された
 トロイダルコア

 エヌエス アモルメットコア
 問:中村製作所 Tel.042-759-7812


 
品名 外径寸法 穴径 厚さ 磁気特性 カラー 価格(税抜)
Amormet NS-095B Φ9±0.5 Φ5.5mm 8mm コモンモード専用 ブラック 2,000円
Amormet NS-115 Φ12±0.5 Φ5mm 7mm 超Hiμ材
コモンモード専用
ホワイト 1,000円
Amormet NS-145 Φ14±0.5 Φ6.5mm 7mm 超Hiμ材
コモンモード専用
ホワイト 1,200円
Amormet NS-221 Φ22.5±0.5 Φ10mm 12mm 超Hiμ材
コモンモード専用
ホワイト 3,200円
Amormet NS-285 Φ28±0.5 Φ14mm 13mm 超Hiμ材
コモンモード専用
ホワイト 7,800円
Amormet NS-295 Φ28±0.5 Φ16mm 13mm 超Hiμ材
コモンモード専用
ホワイト 7,800円
Amormet NS-385 Φ48±0.5 Φ24mm 28mm 超Hiμ材
コモンモード専用
ホワイト 18,000円
Amormet NST-105 Φ10.5±0.5 Φ5mm 6.5mm コモンモード/
ノーマルモード両用
ベージュ 800円
Amormet NST-159 Φ15±0.5 Φ6mm 9mm コモンモード/
ノーマルモード両用
ベージュ 1,000円
Amormet NST-198 Φ19±0.5 Φ8mm 10mm コモンモード/
ノーマルモード両用
ベージュ 1,500円
Amormet NST-241 Φ24±0.5 Φ10mm 12mm コモンモード/
ノーマルモード両用
ベージュ 1,800円
Amormet NST-271 Φ28±0.5 Φ13.5mm 12mm コモンモード/
ノーマルモード両用
ブラック 2,000円

※価格は1個


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トロイダルコアがノイズを減衰させる仕組み


各種ノイズフィルターの中でもっともシンプルな構造、ドーナツ形状のトロイダルコアにケーブルを通す方法がある。今回のフィルターもこのタイプだ。

そもそも、この簡単な方法がなぜ、ノイズを減衰させる効果を持つのだろう。使い方を書いてみると図1のようになる。ドーナツ状のコアをトロイダルと呼ぶ。このコアの性能が肝になるが、それはさておき、理論的な仕組みを考えてみる。

コアに+−2本のケーブルを通す。スピーカーケーブルや電源ケーブルなど。+には信号電流、−線はアース電流が流れる。さて、ケーブル内の2本の導体には外部ノイズが同相で等量乗ると考えられる。これはコモン(共通)モードノイズと呼ばれている。コアを電流が通過する時、トロイダルコアに磁束が発生。電流エネルギーが磁気エネルギーに変換されるが、ノイズは磁気損失として失われ、損失を受けない信号電流だけが純度を高めて通過する。簡単にいうとこんな仕組みだ。

トロイダルコアがノイズを減衰させる仕組み

図1.トロイダルコアがノイズを減衰させる仕組み


使い方による効果の違い

2本の+−ワイヤーにトロイダルコアを装着する方法は、図2のように1本ごとにコアを装着するデュアルコア。径の大きさを上げて2本のワイヤーをまとめて通過させるシングルコア。これを比較実験すると違いは大きい。

デュアルの問題は、透明度や低音の力はややプラスだが、高域の伸びが詰まる。抜けきりがよくない。帯域が狭くメリットは感じられない。うまく効いていない、あるいは効き過ぎているようだ。 シングルコアで使うと、S/N比が高く高域はすっきり伸びきり冴えている。輪郭をしっかり描き、解像度が高い。テストはスケルトン電源ボックス、コアはNSシリーズを使った。


トロイダルコアの使い方

図2.トロイダルコアの使い方


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NSシリーズとNSTシリーズの違い

装着の方法で大きな違いが発生、注意が必要であることがわかった。次はアモルメットコアにはNSシリーズと、NSTシリーズの2種類がある。これは、効果も音質も違いがある。NSは超ハイミュー材を採用した透磁率の高い高性能。やや透磁率の低い素材のNSTの音は多少あまくなる。したがって、最初に試してみるのはNSが薦められるが、メーカーは組み合わせる効果もあるというが、今回は試していない。


どのように応用できるのか

アモルメットコアをどこに、どう使うのか、これはパーツであるため、個人で応用を考える必要がある。+−2本のワイヤー、あるいはケーブル外径がトロイダルの内径に通過できることが条件。一般に挑戦できるのは切り売りスピーカーケーブルの端末部に使う方法。電源ケーブルを自作する人はプラグ、あるいはインレットプラグに装着すると効果は大きい。またRCAケーブルを自作する人も先にケーブルにコアを通し、プラグを装着することで可能。これも効果は大きい。できれば、ケーブルとコアの隙間は少ない方が有利と思うが、ラフな装着でも効果は確認できる。


hr

テストと結果からみる効果

1.スピーカーケーブル
 

テストに使ったケーブルは外径9φ、装着は送り先側。どこか一カ所であれば、この位置が効果的だ。コアは写真のようにシースを取り去った部分に付けた。すでに充分にS/N比、解像度が高く問題はないと思っていた。ところが、さらに音の純度を高め、すっきり冴えた高音が伸びきっている。解像度を繊細に音のコントラストを高め、中低音は輪郭をはっきり正確にする。これはもう外せない。遠くで聴いていても、その違いは明らかだ。



スピーカーケーブル


 スピーカーケーブルで使用した例。
 シースを取り去った+と−の線を
 まとめて通すと効果的だった

2.自作電源ケーブル
 

自作できる技術があれば、電源ケーブルのプラグ、あるいはインレットプラグ内に装着することは可能で、効果的だ。テストではプラグ内に装着。パワーアンプで試聴。
アモルメットを加えると、透明度、立ち上がるレスポンスに優れ大きな効果に驚く。やはり電源ケーブルは効く。力強く低域の伸びやエネルギーが強化され立体感が出る。歪感の減少、力と美しさ、音場は澄んで広い。低域は引き締まりパンチ力も強力。ボーカルは音像の彫りが深くなる。



電源ケーブルに使用 電源ケーブルに使用した例。
電源プラグのホットとコールドを
まとめて通し、プラグの中に収めた

《使用部品》

電源プラグ:明工社 ME2591¥1382(ニッケルメッキ、ホスピタルグレード)/L型インレットプラグ:フルテック FI‐12L(R)¥8856(ロジウムメッキ)/切り売り電源ケーブル:アコースティック・リヴァイヴ AC-Triple C4800¥4800/m(PC-TripleC導体2sq/アモルメット:NS‐145¥1200


3.壁コンセントの入力部
 

これは分電盤からオーディオグレードのFケーブルで引いた端子、壁コンセントに相当する部分。塩ビボックス内にアモルメットは装着できないため、ボックスの入り口に内径10φのNS‐221を使う。
装着後、音はすっきり中高域が冴えて抜けがよく歪感が減少。高域はよく伸びて爽やかにS/N比を高める。この経路はパワーアンプ専用になっているが、ビッグバンドジャズのような複雑な音色の重なりも明瞭に一音一音が分離。解像度は高くなるが、ニュアンスは柔らかい。暴れや混濁が少なくなる。
ただ、一般にこの部分にアモルメットを装着するのは、新築やリフォームの機会でないと無理がある。デジタルノイズメーターで使用後を調べると数値は100低くなった。



大型アモルメット

大型アモルメットコア内蔵 電源タップ
エヌエス PLC-02¥82,000
※限定100セット


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電源ボックス PLC‐02
 

大型アモルメットコア採用のコモンモードチョークコイル、ノーマルモード用チョークコイル2個で構成した強力ノイズフィルターを内蔵した電源ボックスが同時に発売された。アルミダイキャスト製シャーシ、明工社ホスピタルグレード・コンセント。
写真のデジタルノイズメーターで測定したノイズレベルを見て驚いた。リファレンス電源ボックス(自作)で何も接続していない状態は720、ノイズメーター内蔵スピーカーからかなりノイズも聞こえる。
ボックスをPLC‐02にすると数値は007と激減。ノイズも聞こえなくなる。測定はメーターの2P電源プラグをコンセントに差し込む方法。以上は機器へのケーブルは接続していない。
次に電源オフのパワーアンプを接続すると、093と上がる。電源をオンにすると148。アンプから出てくるノイズが加算されるが、これでもかなり少ない。この強力な効果はどのようにして得られるのか、興味深い。


hr

パワーアンプでの試聴
 

パワーアンプの電源ケーブルを接続、実際の使用環境で音質をテストした。高S/N比で濁りが少なく、すっきりしたきれいな輪郭表現、コントラストが高く解像度も一級のレベル。硬質感はなく適度ななめらかさを備える。高域まで繊細に伸びて帯域が広い。低音は力強くパワーは締まる。
この性能は大変魅力だ、価格を考えればコストパフォーマンスは高い。電源ボックスの脚も本格的なインシュレーターが装着されている。フィルター内蔵を嫌う人もこの音質は納得するだろう。


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試聴を終えて
 

アモルメットコアの性能、効果は経験したことのないものである。この種のコアはオーディオでは副作用も感じながらメリットを活用してきた経緯がある。アモルメットの優れているところは、効果の大きさと副作用の少なさだ。オーディオ用トロイダルコアとして一石を投じるものになる。これは開発賞を差し上げたい。


(オーディオ評論家 福田雅光)

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PLC-02使用前 ノイズ値720


 PLC-02使用前 ノイズ値720


PLC-02使用後 ノイズ値007


 PLC-02使用後 ノイズ値007